脊椎センター

更新日:2024年05月29日

取り扱う病気 くびの病気 腰部脊柱管狭窄症 内視鏡手術 腰椎椎間板ヘルニア 上位頚椎の病気 脊柱変形 骨粗鬆症に伴う脊椎骨折 脊髄腫瘍 脊髄くも膜嚢腫 診療方針について

取り扱う病気

脊椎脊髄疾患全般を取扱います。比較的頻度の高いものとして下記の疾患があります。

  • 腰部脊柱管狭窄症・頚部脊柱管狭窄症・胸部脊柱管狭窄症
  • 腰椎椎間板ヘルニア・頚椎椎間板ヘルニア・胸椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性脊髄症・胸椎症性脊髄症
  • 後縦靱帯骨化症・黄色靭帯骨化症
  • 腰椎すべり症・腰椎分離症・腰椎分離すべり症
  • 脊柱側弯症
  • 脊柱後弯症(腰曲がり・首下がり)
  • 環軸椎亜脱臼・軸椎歯突起後方偽腫瘍
  • 脊椎骨折
  • 脊髄腫瘍・脊椎腫瘍・脊髄くも膜嚢腫
  • 癌の脊椎転移
  • 脊椎炎(化膿性脊椎炎など)

頚椎(くび)の病気

頚椎(くびの骨)の真ん中には脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれる脊髄が通る穴があります。体質によりこの脊柱管が狭い方では、脊髄の周囲に余裕がありません。
加齢による椎間板や椎体のトゲや、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などが加わると、脊髄が圧迫され、手足のしびれや動きにくいなどの症状が出ます。転倒などをきっかけに脊髄損傷となる場合もあります。
これらの治療として、主に以下の手術を行っています。

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腰部脊柱管狭窄症

腰椎(ようつい=腰の骨)の真ん中にも脊髄が通る脊柱管(せきちゅうかん)があります。体質によりこの脊柱管が狭い方では、脊椎の周囲に余裕がありません。
これに加えて、加齢よる椎間板や椎体のトゲ・黄色靭帯の肥厚(厚くなる)・骨のずれ(すべり症)が生じることにより脊髄が圧迫され、腰痛や足の痛み・しびれ・歩けないなどの症状が出ます。重篤になると、麻痺や排尿障害に至ることがあります。
これらの治療として、主に以下の手術を行っています。

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内視鏡手術

当センターは脊椎内視鏡下手術の認定施設として数多くの内視鏡下手術を行ってきました。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の患者さんのうち、本法が最適と考えられる方には脊椎内視鏡手術を行なっています。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の中身の髄核(ずいかく)が飛び出して、脊髄を圧迫する病気です。椎間板ヘルニアは自然に吸収されることがありますが、症状が長く続く場合や、強いしびれ・麻痺・排尿障害がある場合には手術を検討すべきです。
当院では、ヘルニアの位置や型、症状の重篤度などに応じて内視鏡手術、顕微鏡手術、椎間板内酵素注入療法などを使い分けています。いずれも保険が使えます。
まれにヘルニアが再発することがあるため、術後の生活や仕事・スポーツ復帰への配慮が必要です。

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上位頚椎の病気

頭蓋骨(頭の骨)と頚椎のつなぎ目は、首を左右に向けるための特別な構造を持ち、大きな動きを担う場所となっています。このために他の脊椎とは異なる病気を生じることがあります。脊髄や延髄が危険な状態に至る前に動きを止める手術(固定術)を要することが多いです。

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脊柱変形

診療内容:成人脊柱変形・思春期側弯症・外傷後脊柱変形・その他の姿勢異常や脊柱変形疾患を取りあつかいます。

思春期側弯症

成長期の脊柱側弯症の原因はいくつかありますので、まず診察と検査を行って、診断を確定します。そのうえで、日本側弯症学会の標準的な診療方針に従って、必要な場合にコルセット治療や手術治療を行います。それぞれの治療の必要性は、原因疾患、脊柱変形の重症度、変形の進行速度、骨年齢により決まります。

成人脊柱変形

人口の高齢化とともに増加している脊椎疾患です。多くの場合、60歳台から80歳台にかけて少しずつ腰や背中が曲がってきて、立った姿勢を長く保てない、歩くと腰が曲がってしまい杖や押し車にもたれないと歩けない、体幹が前または横にゆがむ、腰がだる痛い、といった症状が進行します。脊柱管狭窄症を伴う場合には、殿部・下肢のシビレや神経痛が出ます。立ったときに腰が前方に曲がる腰曲がり症(変性後弯症)や、横方向に体幹が倒れるように傾く変性側弯症、両者が合併したもの、などがあります。「変性」とは、加齢に伴う変化や劣化が原因でおこる、という意味です。いずれも、進行すると、歩行や日常生活動作に支障が出るだけでなく、外見(身体イメージ)や精神的な健康をそこなう場合があります。
治療は、大きくわけて、保存治療と手術治療の二段階になっています。脊柱変形外来では、まず診察と検査により診断と原因を確かにしてから、個々の患者さんの症状の程度と希望に応じて、標準的な治療方針につき説明と相談をおこないます。変形や機能障害が著しい患者さんについては、根本的な治療を希望された場合に手術治療を行ないます。脊柱変形の手術は、姿勢を正しくし、痛みやシビレを改善して、歩行と歩容を改善することができますが、身体の可動性(柔軟性)は減少しますので、その長所欠点をよく説明したうえで患者さんに選択していただくようにしています。そのようにして矯正固定手術を受けられた患者さんのほとんどは、治療結果に高い満足を感じておられます。

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骨粗鬆症に伴う脊椎骨折

超高齢社会化した日本では、骨粗鬆症に伴う脊椎骨折が増加しています。骨折の程度が軽い場合は安静やコルセットで治る場合がありますが、腰曲りを残す場合や、骨折が治らないまま(偽関節)で腰や背中の痛みが長く残ることがあります。重篤な場合には、変形した骨が脊髄を圧迫して足のしびれや痛み、麻痺などで歩けなくなることがありますので、手術のタイミングを逃さないことが重要です。また、手術後の骨粗鬆症治療も大変重要で、注射による強力な薬を使用することが多いです。

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骨折やその周囲の状態によって複数の手術法を使い分けます。骨折して間もないうちは①で対応できます。大きく変形してしまうと④のような大きな手術を必要とします。

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① 椎体形成術:5㎜の切開からセメントを充填する手術。
痛みが早くとれて、翌日から歩けることが多いです。
② 後方固定術(不安定な骨をスクリューなどで固定する)
③ 椎体間固定術(不安定な椎間板に支えを入れる)
②③は1-2日目から歩行訓練を開始します。
④ 骨切り術(変形した骨を切って、形を整える)

脊髄腫瘍(硬膜内髄外腫瘍)

馬尾神経から発生する神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)や、脊髄を包む膜から発生する髄膜腫(ずいまくしゅ)が最も多いです。これらの腫瘍が正常の神経を圧迫すると、手や足のしびれや運動障害、歩けない、排尿が困難になるなどの症状に至ります。
いずれも良性腫瘍のことが多く、早いうちに手術できちんと取り除くと、症状の改善が見込めます。

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脊髄くも膜嚢腫(せきずいくもまくのうしゅ)

脊髄は、一番外側の厚い硬膜(こうまく)とその内側にある薄いくも膜に包まれています。くも膜の異常により、膜が風船のようになって脊髄を圧迫する病気がくも膜嚢腫です。このうち硬膜の内側で生じる場合と、硬膜の孔からくも膜が飛び出す場合があります。
当院ではtime-SLIP MRIという動画MRIを用いることで、手術する範囲を絞り込んだ手術が可能となっています。

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診療方針について

  1. 似たような症状でも体の中の病態は患者さんによって異なります。
    まず、診察と検査によって、原因と診断をはっきりさせることが第一段階です。
  2. 次に、それぞれの疾患について、一般的な治療の選択肢を説明します。
    この際に、担当医の専門が手術治療であるからという理由で手術だけを勧めることはありません。受診目的が手術についての相談であっても、考えうる治療の選択肢をひととおり説明したうえで、どのような場合にどのような理由で手術治療が必要であるかを説明します。
  3. 現代医療の標準的な考え方と患者さんの自己決定権を尊重し、何を根拠として自分の治療を選択すればよいかを説明します。患者さんご自身で治療方針を決められない場合ももちろんあります。その場合には、個々の患者さんにとって担当医が最善と考える治療方針を提案します。
  4. 保存治療は、原則として、それらを行なっている医院や病院で受けていただきます。手術治療については、標準的な術式の中から最適と考えるものを選んで実施します。必要に応じて、診断や治療のため他科や他院へ紹介します。

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